兎波走り

死にたくない

旅の話 1. 中国 麗江、昆明、ニーハオ老大哥

 

「自由」と「幸せ」ならどっちを選びますか?

 

 

高校生の頃、ジョージ・オーウェルの『1984年』にかなり衝撃を受けた。

正確に読めていない可能性があるのでご容赦願いたいが、管理社会に暮らす主人公が逃げ出すことを選ぶがかなり大変、みたいな話だったと記憶している。なんとなくこれ読んでおけばイキれるっしょと浅薄な理由で読んだが「自由」と「幸せ」が必ずしも一緒に存在しない、ということにかなり驚いた。主人公は自由を選んでかなり不幸せになってた。そんなことある? (「そんなことある」は2019年度使いやすい返しNo.1 )

 

昨年の11月上旬、アメリカの歴史がない感じが嫌だったので、なら同時にアジアも行っておこうということで


・興味があったトンパ文字を見るため、使用者のいる麗江
・小さい頃行って楽しかった香港

に行った。香港→昆明で1泊トランジット→麗江昆明1泊→香港の1週間。という香港往復チケットを先に取ってしまうミスでちょっと面倒な旅程。

 

既にNHKでも特集されていたりしたけど、中国むちゃくちゃ1984で、でもむちゃくちゃ幸せそうだった。

 


◆わくわく監視祭り

とりあえず香港空港のカフェでチルって無駄なお金を使ってしまい乗り継ぎ。 

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この写真を本校映画好きの友人に送ったら「奥の写真は旧香港空港」と即レスが来て震えあがった。オーガニックパティハンバーガーも頼んだら3000円した

 

 

北京空港に次いで大きさ2位、昆明空港に向かいます

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山間の都市なので真っ暗な中急に出てきた

 

やったー着いたよということでまずは中国で使えるsimカードを購入する*1  

 

空港に売っててよかったよかった、すみません1枚くださいな

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即パスポートメモられてる〜〜

 

 

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それどっかに送られてる〜〜〜〜

 

 

この後パスポートを顔の横に持った写真を撮られ、それもどこかに送られた。
せ、“洗礼”…まあ悪いことしなきゃいい、のかな?と自分の思考を止めつつ深夜なのでホテルに向かうと

 

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チェックインで顔写真撮られてる〜〜〜〜〜 *2

 


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怖いスクリーンサーバーなってる〜〜


なんとなく「悪は許さない」的なことを言ってるって即わかる。なんなんだこの国。そこら中にスローガンあるし…

 


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ちょっとまだ行き届いてない看板もある

 

SFすぎる。スローガン祭りは香港に入るまでずっと続いた。国内線に乗り継いで雲南省麗江へ。

 


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ふーんスタバもあるじゃん、おもしれー国。


麗江チベットの近く。雲南省、標高約2400mで毎日晴れ。
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公園はオバショットと山が綺麗だね

 

 

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中国に来たんだな〜

 


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こんちゃーーす!!

 

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というわけで標語付きの監視カメラが20mおきくらいにある。標語はさすがに公園だからかもしれないが、満を辞して言わせていただいてもよろしいでしょうか、アイエエエエエエエエ!と…ディストピアSFでお馴染みニンジャスレイヤーの世界だよ。私は大学4年間ニンジャスレイヤーとファミ通町内会botしか友人がいなかったし、人生最初で最後のオフ会はニンジャスレイヤークリスマス会に捧げたくらいこの作品が好きなのだが、いざ現実にその片鱗が見えるとかなり違和感がある。

 


◆文化の香りすら
トンパ文字については昔、キリンから出ていた玄米茶のデザインで知った。

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著名な広告マンの浅葉克己さん*3 が手がけられていた

それ以来ずっと気になっていたので正直かなり期待していた。
やっぱ表意文字いいし、象形文字を今も使ってるのかっこいい。色とかでも意味が違うらしいし、動物むちゃくちゃ多いし。

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実際現地に着くともうタクシーに書いてあってテンションが上がる。

 

 

看板にも店名にも使ってある!すごい!


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博物院にも行く。


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左から、創世記と悲恋伝説。充実している

 


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うわ〜こうやって門に貼るのか〜…

 

 

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おい


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おいよ。

 

 

見え隠れする思想に不穏な空気を感じながら観光用のトンパ文字地区、古城地区があるのでそこに向かう。
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あればいいってもんじゃない

 


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旗!

 

 


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商業!(THE ALLYは台湾のタピオカ屋)

 

 

画像右、とりあえずナシ族のお店でノートを購入してトンパ文字を書いてもらう

 

 

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たまに警察!

 


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オバショット!

 

 

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まじで何一つわからない装飾

 

 


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あーあもうヤンキーのプリクラ


というわけでむちゃくちゃ商業利用されていたため、結局実際の使われ具合はどうなのか全く信じられなくなってしまった。適当に並べられても使用者じゃないと間違いには気づかないしね。まあユネスコ認定されており観光客もひっきりなしなので今後もご発展されるのでしょうか。打ち捨てられた居抜きが急にあったりしてびっくりするけど。

 

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空っぽの店の裏に置いてかれたフラミンゴたんも悲しそう

 

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アッハイ最高です

 

 


◆幸せ

www.youtube.com


これは麗江から少し離れた白沙へ行くバス。農業の車もぼろぼろだったり道も凸凹だったり結構田舎だけど、バスもタクシーも全部電子マネーAliPay・クレジットカードでOK。よぼよぼのおばあさんも携帯かざしてバスに乗り込んでる。

街は綺麗だし、ドラッグストアには日本のビオレもラロッシュポゼまである。ZARAもスタバもユニクロもおしゃれなカフェも、AESOPパクった上海発のデザインシャンプーもある。なんか空気に充実感や勢いがあった。

 

 

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直後に行った香港は、本当に疲れていた。
いまはもう変わっているのだろうけど、店は閉まっているしどこからともなく警察が来ると周囲の人の空気がどこか硬くなる。自分が帰国した11/13当日は香港中文大での大規模な衝突が起こったので、街の緊張の張り詰め方もぎりぎりだったのだろう。夜は道にレンガが散らばりUberも入ってこられず、フェリーで帰った。

 

 

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デモとは関係なく、香港のタクシーも電車もクレジットカード支払いはできなかった。中国の方が便利だった。正直、中国の方が便利で、適正価格で、安全だった。


中心部ではみんな仕立ての良いスーツで歩きゴヤールのトートを抱えた女性がヒールを鳴らしていて、都市は似るなあとぼんやり思った。なんだか急にNIKEの靴を買ってairpodを耳に刺してインスタ更新チェックしないとと慌ててしまい変な気分だった。

 

どっちが幸せなんだろう?
中国本土から香港という「外」に出たとき、街に溢れる競争の感じにびっくりした。中国も幸せじゃん、と少し思ってしまったと同時に、香港を始めウイグル周辺諸国に強硬な態度を取る中国への嫌悪と恐怖もあり結論は出せていない。

 

ビッグブラザーに支配される世界で、自由と幸せの選択を迫られたら自分はどっちを選
ぶだろうか?そもそも「自由」の概念を理解しないまま一生を終わる気もするが。

 

 

中国ではVPNを通せばGoogleが見られる。SNSで変なこと言うと当局に連れて行かれちゃうけど、もしかしたらこそこそGoogle見て、管理社会には従って、密室で話したいことを話す、という中道を選ぶのかもしれない。そう、「悪いことをしなければいい」んだけど。誰かに見られ続けているという小さな重りはずっと心にぶら下がっている。

 

そして、私は日本の社会は中国と違う、と思っているけどその程度は実際どのくらいのものなんだろう?駅の監視カメラと目があっても何も思わなくなったのはいつからだろうか。むしろどこかで安心している自分もいる。

 

 

あ〜〜ネットも電気もないフィヨルドの横に住んでて書簡だけがコミュニケーション方法で、数年に一回大発見する最強伝説チート研究者になりたいな

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いややっぱ無理

 

 

というわけで、歴史がないなんていやよアタシ!文化資源最高〜!

ハイ…お金稼ぎます…国家にとって危険な思想を持ちません…

と両方体験できた2019年でした。

2020年は全部足して平均とった所に行きたいです。

 

 

 

*1 中国では普通にしてるとGoogleTwitterやLINEの閲覧が不可能。キャリアの海外ローミング or VPNのポケットwifi or 国際simカードなら大丈夫で、 一番格安ルートのSIMカード案にした。ギリギリで麗江をぶち込んだためamazonで事前購入する暇がなく香港空港内で入手済み。しかし容量の少ないタイプにしてしまったため中国でもなんとなく買ってみた。2000円くらいだったし。結論としては、絶対事前購入が良いし、テンション上がってビデオ通話はしないほうがいい。

 

*2 麗江と帰りの昆明泊ではこんなことなかったんだけど、空港の近くのホテルだったからか? 国籍関係なく撮られていた

 

*3 浅葉克己さんか〜い

西武の伝説広告「おいしい生活」の方です

 

 

 

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おまけ ごみ収集車

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